その後。
二人は後始末もロクにせず寝てしまったのだが、腹の上のぬるついた感触が気になって目覚めた鏡によって平も叩き起こされ、シャワールームに置かれたバスタブに二人で浸かっていた。
「……惨めだ」
平を正面から見据えて、鏡が言う。
「……そう、ッスね」
気を紛らわせれるのは絶頂に身を委ねた一瞬だけで、何の解決にもなりはしない。毎晩繰り返して分かっていたのに。
それに、上司まで巻き込んで。あんな事を……
「別にキミの所為ではない。ワタシが見て見ぬフリを出来なかっただけだ」
俯いていた平はその言葉に顔を上げた。
顔を上げた先に見えたのは、今までに見たこともないような上司の優しく、そして傷付いた表情。
この自信に満ちた人の美しい顔をここまで歪ませるなんて、普通は逆立ちしてもできないだろうに。
それだけこの人は、番長の事を……
「サムライボーイが戻って来たら、文句の一つでも言ってやろう」
鏡はこちらを見てくる平から視線を逸らし、遠ざかるようにバスタブの縁に寄り掛かる。
「係長」
「別にワタシの事はいいが、ただ慕っているだけのキミが泣いているのはおかしいだろう」
そう思わないか? と、彼は振り向く事なく言った。
慰め合うのが一度きりなのか、それとも繰り返してしまうのかはご想像にお任せします。
2021/08/13:慰め成分が足りないと思ったので、加筆しました。
