おまけ童話 赤ずきん - 1/3

 むかしむかし、ある所に『赤ずきん』と呼ばれる男の子が住んでいました。
 まだ泣くことしか出来ない赤ん坊の頃に森と街の境目に捨てられていた彼は、森に住む四人の魔女に拾われ、ケーシローという名前とお守りの赤い頭巾を与えられて育ち……二十年ほどすると賢く、美しい青年になりました。
 大人になってからは森を出て街で暮らす事も出来ましたが、彼は森での生活がすっかり気に入り、出ていく事はありませんでした。
 代わりに独りでに動くほうきを一本譲り受け、魔女達の暮らす方角とは反対側、街に近い森の外れに小屋を建てて暮らすようになり。
 たまに訪れる街の人々の相談に乗る以外は木の上でのんびりと昼寝をしているような、気ままな生活を送っていました。
 そんなある日。
 壊れた橋を一晩中に直してほしいとお願いされた赤ずきんは、森の魔女達の力を借りようと手土産を持って、反対側の魔女達の住む小屋まで歩いていました。
「一日で直せ、だったらワタシにも出来るんだが」
 赤ずきんはとても器用だったので何でもそつなくこなし、仕上がりは他の人々よりもずっと早かったのです。
 それでも橋の真ん中に空いた大穴を一晩で直すというのは、魔法を使わない限りは無理でした。
『アナタはもう素敵な魔法を使えるから』と、赤ずきんは魔女達に魔法を教わった事は無いものの、魔女の息子というだけで赤ずきんを頼って来る人も中には居たので、月に一度ぐらいはそんな人々の願いを叶えるべく魔女達の元へ帰っていました。
 手に持ったカゴの中には、街で買った焼き立てのパンと上等なぶどう酒が詰められたガラス瓶が入っています。
 四人分ともなれば大きなカゴはいっぱいになっていますが、赤ずきんはそれを軽々と持って森の中を歩いて行きました。