ヤーナム市街では、ある一つの……強いて言うなら、事件が起きていた。
勇猛な古狩人として名を馳せる、ガスコインという男の狩人が、女に成った。という噂でもあり、事実でもある話がヤーナムを中を駆け回っているのだ。
彼の大柄で筋肉質な身体は少し縮み、筋肉は脂肪が付き、女特有の丸みを帯びた柔らかい肉と化した。
立てど座れど美しいその姿は、男は勿論女も引き寄せる程の魅力に満ち溢れる。だが、相変わらず『彼女』の腕っぷしは男の時そのままで、下心を出して触れようものならば本人に叩き潰されていた。
「ガスコイン、やり過ぎだろう」
しかし。挑んだ男達が二度とやって来なくなる、ある意味清々しい叩き潰しっぷりには、長年の友人であり狩りの相棒でもあるヘンリックも顔を顰める程だった。
「そうは言うけどよ、徹底的に潰せって言ったのはお前だろ?」
「確かに、降り掛かる火の粉は払えとは言ったがな。だが文字通り潰すのは……その」
「潰れてねぇって! 多分……潰れちゃいない」
容赦なく股間を蹴り上げられ、地面に転がり悶絶する男にヘンリックは声を掛けるが、返ってくるのは呻き声ばかり。
声が聞き取れているかも怪しいが、ヘンリックはそのまま言葉を続けた。
「生きてるか? タマは無事か? まあいい。二度とガスコインに手を出すなよ。次はその自慢の竿を鋸で切るからな」
この調子では二度と挑んで来る事は無さそうだが。転げ回る男に少しだけ同情しつつ、ヘンリックはガスコインと共にその場を去った。
