ガスコインが相棒に説教をして欲しいと頼まれたのはつい先程の事だ。
「お前は……てっきりこういうものが苦手なのかと」
「まあ、信仰しようとする気は無いが……暇つぶしにはなると思ってな」
今夜は獣狩りの夜ではない、普段通りの夜。
故にガスコインも、その相棒であるヘンリックも暇を持て余している。ガスコインは快諾すると、懐からいつも持ち歩いている点字聖書を取り出した。
ヘンリックの目の前に立ち聖書を手に持つと、ヤーナムに来る以前……今では随分と朧気な記憶に残る自分に戻ったかのようだった。
「何処からがいいか……」
中身に入る前に、まず何が書かれているかを説明した方が良いだろうか。久々に神父らしい事をして、ガスコインは胸を踊らせていた。
「何でも良い。お前の好きな所からで」
「ん、そうか」
ガスコインは暫し考えた後、やはり『聖書とは何か』という所から始めることにした。
指先で点字を追い、読み上げる。
「からだのあかりは目です。それで、もしあなたの目が健全なら、あなたの全身が明るいが……」
先程から一節を読み上げる度にあった相槌が無くなっている。
……もしかしたら、存外退屈で、寝てしまったのではなかろうか。
「もし、目が悪ければ、あなたの……ッ!?」
するり、と股座を弄る邪な手が伸びる。
「……ヘンリック?」
「ああ、私はずっと思っていたんだが……やはり、お前は神父という職業には向いていなかっただろう」
色気が過ぎる、などとワケの分からない事を言って、今度は尻にも手が伸びてくる。
無遠慮な手はあっという間に秘所を探し当てると、遠慮なく刺激を与え始めた。
逸物は指の輪で扱かれ、後孔はぬるつく液体と指に蹂躙される。
「あッ……! ヘ、ヘンリックッ」
既に数多くの暴虐を受け、快楽を覚えたガスコインの身体では抗う事もままならない。
指先が震え、まともに字を追う事すら出来なくなる。
「そんな顔をするな、神父様。もっと私に、神の教えについて話してくれないか?」
要するに続きを催促しているのだが、ヘンリックの責め立てるような動きは早まるばかり。
「ア……ッ、グ、ウ、アァッ!」
ガスコインは責め苦から逃れるように首を振る。
それは、この状態では続きなど出来るはずも無い、という抗議も兼ねられていた。
「フン……全く、仕方の無いヤツだな」
粘つく水音を立て、扱いていた輪は離れ、後孔から指が抜ける。
快楽と緊張に強張っていた身体が、ふう、とガスコインが安堵の息を吐いて解れたのをヘンリックは見逃さなかった。
指を咥えてなお物欲しそうにヒクついていた欲張りな穴に、ヘンリックは自分の逸物をゆっくりと挿れていく。
「あああっ、あ……!?」
「ほら、私も手伝ってやるから。続きを読んでくれ」
教壇の一部らしい、木製の板の上に倒される。尻だけをヘンリックに突き出している格好に、頬がカッと熱くなる。
コトン、と何か固い物が置かれた音がする。恐らくは聖書だろう。利き腕の人差し指の先から、点字の感触が感じ取れる。
「ほら」
「お前、一体ナニをぉっ!?」
問いかけようとするも、ズンッ、と逸物が力強く突き立てられ息を全て吐き出してしまう。
「あ、ああっ、だ、だめだ、あっあっあ……ッ!」
腰を捕まれ、激しく身体を揺さぶられる。快楽だけを感じ取れてしまうのは、これまでの経験の積み重ねが原因だろう事はガスコインにも分かっている。
「なあ、読み聞かせてくれよ」
腰の動きを少し緩め、ガスコインの耳元に甘い声が吹き込まれる。
快楽で蕩け始めた思考の中、ガスコインは言われるがままに点字を追い始めた。
「ん……はーっ……もし、あなたの目が悪ければ、あなたの全身が暗いでしょう。それなら、もしあなたのうちの光が……ぁ」
くちゅ、と卑猥な水音を立てながら、緩く掻き回される。
「続けてくれ、神父様」
そう言うものの、緩く、浅く掻き回され続けるガスコインの思考は既に正常の域を飛び越しており。
「あ……ッ、ダメだ、お前が、先に……続けてくれ……ンンッ」
自分から前後に腰を振り快楽を求める様は、誰から見ても『神父』では無い。
「ああ、仰せのままに。神父様……」
しかしヘンリックは半ば陶酔したかのように呟くと、上半身を敬愛する神父と重ねるように倒し、腰だけで存分に彼を満足させた。
「……で、どうしてこんな事を?」
ベッドに仰向けになっているガスコインは、隣で腰を擦る相棒に尋ねた。
「あまり……大した理由は無い。気にするな」
「嘘付け、俺をグチャグチャに汚しやがって」
ヘンリックは暫しピローを眺めると、ガスコインに向き直る。
「言っとくが、最初はこんなつもりは無かったんだ。ただ……お前が聖書を読んでいる間、盗られた気がした」
「盗られたって……俺が? 聖書に?」
返事は返って来ない。代わりに、僅かに布が擦れた音が響いた。
「フ、ハハハ! ああ、なるほどな。悪かったなァ、ヘンリック。俺の教え方が悪かった」
頭に疑問符を浮かべる相棒を押し倒し、ガスコインはその上に馬乗りになった。
「……実は、俺は内容を暗記してるんだ。別に本は必要無い」
だからもう一度、ゆっくり、『身体に』教えてやる。そう言って、神父は迷える子羊の哀れな逸物に手を添えた。
最後は襲い受けなので全編ヘンガスです(苦しみ紛れの言い訳)
