恋の悩模様
金髪と赤い学ランが目に眩しい青年は、それ以上に煌びやかな女達に囲まれて自分の前を歩いて行く。
その表情でさえも自分の隣に居る時より輝いている気がして、様子を背後から眺めていた青年は、耐え切れなくなって被っていた学帽の鍔を下げた。
「俺でいいじゃねぇか」
お前さんの隣に居るのは。そこまで呟こうとして、自分の浅はかな考えに気付く。
馬鹿だな、俺は。想い人すら信じる事が出来ないなんて。
そう考えていた所で突然彼が振り向いた。二言ほど周囲と言葉を交わすと、女達が周りから引いて行く。
そして一人になった彼は、また青年と歩幅を合わせて歩き始めた。
「悪いね、金剛。キミとのデートなのに」
「……別に」
「どう見てもソレは『気にしてる』って顔だよ。大丈夫、次からは断るから」
「どうだかな」
「ああ、もう。ヘソを曲げないでくれたまえ。でも……そんな所もラブリーな男だね、キミは」
金剛は腹いせに相手の手を掻っ攫い、強く握った。青年は痛みにほんの少し顔を顰め、それから嬉しそうに金剛の手を握り返す。
その笑顔はどんな物よりも優しく、美しく、眩しかった。
